ペルー アヤクチョ

武力紛争で奪われた家族の記憶

C-2 マルセリーノソトギエンさんのポロシャツ

犠牲者
マルセリーノ・ソト・ギエンさん(31歳)
証言者
ロレンサ・キスペ・デ・ロメロ・デ・ソトさん

マルセリーノ・ソト・ギエンさん(1970年代にリマで撮影)

 マルセリーノは、1984年1月15日にティンクイ村(ワンタ郡ウルクワシ区)で失踪した。その日、軍隊はテロリストを探しに村にやってきた。マルセリーノは家から連れだされ、海兵隊が駐屯していた地域の集会所の警備にあたらされていた。

 妻のロレンサ・キスペは、2日間夫が解放されるのを待っていたが、軍が去ると同時にマルセリーノも連れ去られてしまった。ロレンサはワンタにある駐屯地まで探しに行ったが、ここには一人の拘束者も連れてこられていないといわれた。タンボの駐屯地では、夫を探すために中庭まで入ることができたが、そこにはずた袋がいっぱいに散らばっていた。ずた袋の中には被収容者が生きたまま詰め込まれていたらしいことを後で知った。その後、マルセリーノの消息は途絶えたままである。

マルセリーノさんのポロシャツ

 マルセリーノはスポーツマンで、毎週日曜日にはサッカーに興じていた。以前暮らしていたリマやアマゾンの街でもサッカーチームに参加していた。このポロシャツはマルセリーノのお気に入りで、70年代から失踪当時まで好んで着ていた。

 マルセリーノは、妻と4人の子どもを残して一人で旅立った。長女のアイデは6歳、末っ子のエフラインは1歳だった。

⇒証言(ロレンサ・キスペ・デ・ロメロ・デ・ソト)さんへのリンク

2022年03月18日更新