ペルー アヤクチョ

武力紛争で奪われた家族の記憶

F-3 アルミ小鍋

アルミの小鍋

 「私は、博物館の展示品としてこの小さな鍋を寄贈します。1993年、ウアマンガのロス・カビートス兵舎に拘留された時、私たちには水も食べ物も与えられず、ほんの少しの食べ物を受け取るための皿さえありませんでした。わずかに人間の心を残した1人の兵士が、この小さな鍋をくれました。水垢と煤で真っ黒の鍋は、兵舎の犬に餌を食べさせるために使っていたらしいものですが、それでも私たちには役に立ちました。この鍋で兵士達の残飯を必死に受け取りました。ほんのわずかな残飯を生き延びるために食べました。

 この小さな鍋は、最悪の時代を生きた私たちが体験した、残虐で非人間的な瞬間を目撃してきました。もしこの小さな鍋が話すことができるならば、見たことの全てを語ってくれることでしょう。本当に多くの人々が消えてしまい、ここから生きて帰った人はほとんどいませんでした。 1993-2005 エドウィン – エンベル」

2022年03月20日更新