F-1 国内武力紛争の被害
真実和解委員会が2003年に提出した最終報告書によると、国内武力紛争により1980-2000年の期間に次のような被害が出ている。
・国内武力紛争における推定死者・行方不明者数:69,280人
・死者・行方不明者数の内訳:20歳-49歳までの男性:55%以上 女性:20%未満
・兵士、警官など国家機関により引き起こされた死者・行方不明者の割合:全体の約1/3
・国家機関による強制失踪後に殺害されたケース 全体の61%
・センデロ・ルミノソにより殺害・行方不明となった地方自治体職員(市長、村役など)や社会的リーダーの数:1,503人
・センデロ・ルミノソによる死者・行方不明者総数における地方自治体職員(市長、村役etc.)や社会的リーダーの割合: 23%
・死者・行方不明者全体におけるケチュア語その他の先住民族言語話者の割合:70%
・死者・行方不明者全体におけるセンデロ・ルミノソによる加害の割合:54%
・ケチュア語話者女性に対する性的暴力の割合:75%
・農民女性への性的暴力の割合:35%
・地方出身女性への性的暴力の割合:83%
・主婦への性的暴力の割合:30%
アヤクチョ州に焦点を絞って被害状況を見てみると次のようになる。
・アヤクチョ州における死者・失踪者数:26,259人
・全国の被害者総数のうち死亡者数と失踪者数が最も多かったのがアンデス南部中央地域のアヤクチョ州、アプリマック州およびワンカヴェリカ州の一部地域で、真実和解委員会に報告された事例:12,007人
・この地域の人口減少: 1/3が故郷を離れて移住
・アヤクチョ州ウアマンガ郡、ワンタ郡、ラ・マル郡における死者・失踪者総数:4,643人(内訳 ウアマンガ郡:1,834人、ワンタ郡:2,032人、ラ・マル郡:777人)
なお、殺害の目撃者がアクセスの悪い遠隔地に住んでいて情報収集が困難であったり、トラウマを負っていて目撃体験を話すと報復されるのではないかと未だに恐れている人がいたり、殺害の目撃者が存在しないなどの理由で、いずれの機関にも記録されることのなかった被害者が数多く存在すると思われる。
※ 法務省人権擁護局行方不明者捜索局(DGBPD)は2016年設立以来、全国行方不明者・埋蔵地登録リスト(RENADE)を作成して、行方不明者と埋蔵地の特定、DNA調査による人物特定ならびに遺族への遺骨返還を行っている。
それによると2020年時点での行方不明者数は21,442名。
・行方不明者の性別の内訳:男性(17,118人)、女性(4,239人)、情報なし85人
・年代の内訳:18歳から34歳が最も多く(40%)、次いで35歳から64歳(28%)
となっている。
・州別の内訳:アヤクチョ(8,679人)、ワヌコ(2,861人)、フニン(2,743人)、サン・マルティン(1,273人)、フアンカベリカ(1,216人)、アプリマック(699人)、ウカヤリ(653人)