A-1 アンファセップの十字架と旗
この2つは、常にアンファセップの困難な道のりに寄り添い続け、苦しみと喜びの時を共にしてきたシンボルです。この木製の十字架と小麦粉の袋で作った旗を、アンファセップの女性達は「戦友」とも呼んでいます。教皇ヨハネ・パウロ2世の訪問を歓迎しに行った時も、アヤクチョやリマで幾度となく行ったデモ行進の時にも、この十字架と旗は女性達と共にありました。
1984年3月、ノーベル平和賞受賞者のアドルフォ・ペレス・エスキヴェル氏と共にウアマンガの街でデモ行進をした際、初めてこの十字架を背負いました。それ以来、この十字架はアンファセップのシンボルとなりました。アヤクチョにおける人権侵害に対して抗議活動を行ったのは、アンファセップの女性達が初めてでした。このデモ行進は、紛争の最中にあって、抑圧者達に対するたたかいの始まりを意味したのです。
この十字架には、その当時日常的に繰り返されていた殺害に対するアンチテーゼとして「NO MATAR殺すなかれ」と記されており、十字架にかかる白い帯は神への信仰と平和回復への希望を表しています。
この旗は、1983年にメンバーが手作りしたもので、デモ行進や公的行事において、団体としてのアンファセップを顕示するためのものです。
「デモ行進の際何かを掲げて歩きたい、そう考えた私たちは国家食糧支援プログラム(PRPNAA)が子ども食堂に支給してくれていた小麦粉の袋で横断幕を作りました」(アンファセップのメンバー談)
旗にはこう書かれています。
ペルー緊急事態宣言地域における誘拐・拘束・失踪者家族の会 (AEDEFAM)
アヤクチョ – ワンカヴェリカ – アプリマック
失踪者のいないラテンアメリカをつくろう!
家族の解放を勝ち取ろう!
生きて連れ去ったのだから、生きて戻せ!
アヤクチョ 1983年9月2日
このメッセージは、その時代を生き延びた若者達がソシモ・ロカ弁護士から触発されて起草したものです。この旗は、行進のたびに警官から幾度となく奪われそうになりましたが、女性達は旗を腕に巻き付けて離さず、いくら殴打されても手放しませんでした。旗につぎはぎがあるのはこのためなのです。