カナダ ユーコン

大学と先住民族との共働

4.2.6 「ENG100 学術文章と批判的思考」

ENG100は他の必須科目と異なり、ディプロマやディグリーを目指す学生もとらなくてはならないらしく、留学生も先住民族学生もヨーロッパ系カナダ人も、いろいろな学生が受講していました。

英語圏では学術においてもビジネスにおいても必須となる「批判的思考と文章の組み立て」(パラグラフライティングなどのスキル)を学びます。これは留学生にはもちろん先住民族学生にとっても、単に言語の問題だけでなく思考の問題、すなわち文化の問題として難しく、なかなか単位がとれずに何度も受講しているという人もいました。英語圏の思考のしかたを身につけなければ、就職の際に書くレジュメ(履歴書・志望動機書)も書けませんし、こういう思考で書かれているということを理解しなければ文章を読んで理解するにも時間がかかります。植民地主義政策下の寄宿学校では、強制的に先住民族の子どもたちに英語圏の言語、思考、文化を植え付けようとしたことを想起させられました。日本語と日本的な思考を頭から捨て去り、英語と英語の思考に入れ替えなければ、と。

もちろん、授業はそのような強制的・同化政策的なものではなく、ジョージ・オーウェルの「政治と英語」(Politics and the English Language)を読んだり、当時ちょうどカナダで大麻(cannabis)が合法となる法改正が行われたことについてのディスカッションをしたりなど、活発で有益なものでした。

Writing-for-Success-1st-Canadian-Edition-2018

テキストはオンライン版のWriting for Successと、The Little, Brown Essential Handbook(Jane E. Aaron他著、Pearson)で、いずれも実用的でした。

 

2022年03月18日更新