カナダ ユーコン

大学と先住民族との共働

2.1.0 先住民族寄宿学校(レジデンシャルスクール)

日本人にとって、カナダは自由と平等を尊重する国とのイメージがあります。私自身、ユーコンカレッジの学生として留学してすぐの頃に知って驚いたのは、先住民族の子どもたちが家族やコミュニティから引き離され、強制的に収容された先住民族寄宿学校(レジデンシャルスクール、以下、寄宿学校)の歴史でした。先住民族の人々が寄宿学校で受けた傷は、今日もなお癒えていません。その傷の深さ、そして世代を超えた広がりについて、留学中のさまざまな体験を通して知ることになりました。

例えばユーコン大学のキャンパス内には、キャンプファイヤーの設備があり、毎週決まった曜日の昼休みに火を囲んで、寄宿学校のサバイバー(生存者)でもあるエルダー・オン・キャンパス(Elders on Camps, 教育者として大学に迎えられている年長者)から話を聞く機会がもうけられていました。他にも、キャンパス内外のさまざまなイベントを通して、寄宿学校制度をはじめとする植民地政策・同化政策について経験者から直接お話を聞く機会がありました。

留学を終えて帰国してから、先住民族の人々が植民地化過程において受けた心身の傷、すなわちトラウマは、カナダだけでなく世界の他の地域でも、植民地化政策の中で人々が被り、また今も苦しんでいるものなのだと知りました。

それは日本でも、起こっていることです(→日本サッポロ編 C-3開拓使仮学校参照)。

※このウェブコンテンツでは、主にファーストネーションの人々が通わされたインディアン寄宿学校について述べていますが、カナダ全体ではイヌイットの人々も寄宿学校に入れられていた歴史があるため、先住民族寄宿学校と記述しています。

ホワイトホースの中心部、ユーコン川沿いの広場に作られたモニュメント’Join the circle’。円形に並べられた椅子は、寄宿学校の元生徒やその家族の「輪」に加わり、体験を分かち合う場所であることを意味します。(2018年10月撮影)

 

2022年03月18日更新