4.2.4 「LANG140 言語と文化の保存」
アーカイブされた講義を毎回オンラインで視聴する授業でしたが、動画やウィークリーディスカッションもあり、実践的なテキストもあって、充実した内容でした。私にとっては、言語学の基礎もなければ消滅の危機にある言語の復興に関する知識もなく、ユーコンの伝統言語については全く何も知らないところからスタートしたので、ほんとうにきつかったのですが。
テキストは下のリンクからフリーでPDFをダウンロードすることもできるようです。
https://www.academia.edu/10427280/Leanne_Hinton_and_Ken_Hale_eds._._The_Green_Book_of_language_revitalization_in_practice
<シラバスによる毎週の履修内容> https://www.yukonu.ca/programs/courses/lang-140
第1週 導入
第2週 言語の消失(Language Loss)とは
第3週 言語の復興(Language Revitalization)
第4週 ユーコンの言語と取り組み(Yukon Languages and Programs)
第5週 言語復興の計画(Language Planning)
第6週 言語復興の方法(Methods for Revitalization)
第7週 同上
第8週 休眠言語(Sleeping Languages)
第9週 新しい単語をつくる(Creating New Words)
第10週 書字システム(Writing Systems)
第11週 言語文化とイデオロギー(Language Culture and Ideology)
第12週 媒体とテクノロジー(Media and Technology)
第13週 この先へ(Where do we go from here?)
▲授業に使われた動画教材の例。米国における先住民族Nkwusmの言語 Salishの学校に関するPR動画
LANG140の期末テストは、ある架空の伝統言語を想定し、その言語の状態に関する評価と、復興プログラムを提案するというレポート方式でした。どこから手をつけていいのかわからずにいたところ、同じクラスのC君が、「図書館でいっしょにやろう」と誘ってくれて、自分の書きかけのを見せてくれたので、どうやって取り組めばよいか手がかりを得られました。C君はファーストネーションの青年です。本人は英語しか使わないのですが、本来の言語はサウザンタショー二で、LANG140の授業を通して自分の言語について深く考えるようになったそうです。自分の言語がまさに復興を必要とする状態にあるので、ウィークリーディスカッションではいつも、具体的で切実な考察をしていて、はっとさせられました。私は文字通り机上の空論しか書くことができないのに、「君のディスカッションはいつも洞察力に満ちているよ」と励ましてくれました。LANG140のウィークリーディスカッションは、国や年齢の差を超えて言語に真剣に向き合い議論できる貴重な場でした。
▲授業を担当したロビン・ギフェン先生のTEDxトークも動画教材の1つ