ペルー アヤクチョ

武力紛争で奪われた家族の記憶

E-1 「二つの炎」

「二つの炎」

 「二つの炎」と題された絵は、センデロ・ルミノソとペルー国軍による凄惨な暴力行為の数々を、赤と緑の亡霊=炎として表現しています。

 武力紛争の時代、アンデスの村々は日常的に殺害、強制失踪、レイプ、略奪といった双方からの残虐行為に晒され続けました。己の身を守るために一方の側につけば、直ちにもう一方からの攻撃の対象となりました。

 これに加えて、2つの炎は人々の心の奥底に潜む人間の醜悪さを炙り出しています。隣人への日頃の妬みや恨みから軍への虚偽の密告をした村人、人々の助けを無視し続けた神父、被害者から暴利を貪った弁護士など、これらの事例は枚挙に暇がありません。

2022年03月19日更新