1.1 ユーコン準州の概要~直線的な国境・州境に挟まれて
そもそもユーコン準州とはどういうところでしょうか。
カナダの北西部に位置し、直線的な国境、州境に囲まれた三角形のエリアです。北海道の6倍の面積(483,450平方キロメートル)に、約41000人(カナダ全土の約0.1%) が住んでいます。人口の8割が州都のホワイトホースに住み、ユーコン大学もホワイトホースにあります。ホワイトホースの緯度は北緯60度43分で、北海道よりもずっと北にあります(札幌市は北緯43度)。夏は白夜に近く、冬は明るい時間が4時間くらいしかありません。オーロラが見えます。冬の最低気温は-30度を下回り、広く永久凍土が分布していますが、気候変動の影響を強く受けて凍土の融解が問題となっています。
アラスカ州(米国)との国境が直線的であるのは、西経141度の経線を境にかつてアラスカを支配していたロシアとカナダを支配していたイギリスの間で協定を結んだからで、南側のブリティッシュコロンビア州との州境は北緯60度の緯線を境と定めたからです。ヨーロッパ系カナダ人よりもずっと古くからこの地に住んできた先住民族の人々にとっては、意味をなさない人為的国境・州境です。19世紀末に起こったゴールドラッシュでは、たくさんのアメリカ人がユーコンにやってきましたが、ブームはわずか2年で終わりました。
- 州の花:ファイヤーウィード(ヤナギラン)
- カナダ最高峰:ユーコン準州の南西部にあるマウント・ローガン(5959m)
- ユーコン準州の名前の由来:準州内を流れるユーコン川にちなむ。先住民族の言葉で「大河」を意味する。河口は米国アラスカにありベーリング海に注ぐ。総距離は3185km。
- バイオーム:ツンドラ。準州の広い地域を永久凍土が占める。
-Memo 「準州とは?」
カナダは10の州(Province)と3つの準州(Territory)からなる連邦国家です。日本の都道府県と違い、州には自治権があります。各準州は面積に対して人口が少なく、立法、行政などを連邦政府が直轄します。3つの準州(ユーコン準州、ノースウエスト準州、ヌナブト準州)はいずれもカナダ北部にあり、先住民族比率が高いことも特徴です。
2022年03月18日更新